■猫

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 猫との出会いは常に緊張感が伴う。

 目が合った瞬間から相手の出方をうかがう心理戦が始まり、どちらかが退いた後でさえ、まだ何かあるのではないか?という疑念が捨てられず、相手もまた同じ事を考えている事が背中越しの気配で感じられる。

 あるいは、俺達には友達になる余地があったのかもしれない。俺はパンを、彼ないし彼女は獲ってきた鳥かネズミを出し合い、道端でむしゃむしゃと一緒に食べる事が出来たのかもしれない。しかしそれでも、あの緊張感を解くには至らないだろう。人間にとって猫は隣人だ。反面、人間は猫にとってもう少し、場合によっては段違いに厄介な存在かもしれない。結局のところあの緊張感はただの優越感かもしれず、隣人との絆はごく一方的なものであってもおかしくはない。しかし何はともあれ、道を歩けば人は猫に出会う。